社会福祉法人木犀会は茨城県内の高齢福祉施設、障がい福祉施設の運営を行っています。
社会福祉法人木犀会「茨城県 福祉」

「茨城県 福祉 木犀会」花と果実

K様に教えてもらったこと

2016.07.02

K様は96才の女性の方です。6/3付けで、花水木岩瀬館を退居されました。出会った頃、「ここ(花水木岩瀬館)はいいところだと思うけど、まるで自分はかごの中の鳥のように感じる」と言われた事があります。
 その頃、私達は個別支援の重要性を感じながら実施できないでいた時でした。
少しの時が経ち、ご本人の意思を尊重したケアへ移行していきました。
 するとすぐにK様から、「このチームはとてもいいよ」言って下さいました。また、それまでは、施設を「ここ」と表現されていたのが、「家であったり、この家族」と表現してくださるようになりました。
 それとは、裏腹にK様は、入退院をくり返し96才と高齢もあり、車イスでの生活となりました。
 でもそれを、嘆く事もなく車イスでの自走をすぐに覚え、もともと感受性豊かで観察力があり、フロアにあるハイビスカスの花が咲けば「今日は2つも咲いた」と教えて下さったり、ご自分のだけではなく他の方の繕いものをされたり、外出に行けば「昔はこうだった」など教えて下さったり、つきそいのスタッフに感謝の言葉を忘れない方です。
 今年に入り体中の痛み、しびれがK様をおそい痛みどめがかかせなくなりました。
痛みがある時は気弱な姿をみせますが、痛み止めが効いている間は、気丈にふるまい、3つ年下のS様の世話を焼き、手をにぎり話かけ励ましている姿はとてもほほえましいものでした。
 5月に入り、私が夜勤の時に痛みがひどく横になっているとつらいというので、夜の間中、フロアで2人で過ごしました。最初は顏を伏せつらそうですが、ちょうどご本人が活躍されていたであろう昭和20年代の歌をかけると「なつかしいよ」と喜んで下さいました。
朝食のしこみの野菜切りも一緒に行い痛みは消えたようでした。
 何度か部屋で休むかききましたが「ここでいいよ」と結局朝まで2人で過ごしました。
2人とも食いしん坊なので、「あれがおいしいどうやって食べる?」
なんて話をたくさんしました。その中で「豆腐屋のおじさんが油あげ焼いたのくれた、あれは最高だ」「とうちゃんかあちゃんとしいたけを焼いて食べたのは美味しかった」というので「いつか必ず油あげとしいたけ焼いて醤油をかけて一緒に食べましょう」と約束しました。
 でも結局、約束は果たさず退去されそれが心残りです。96才で体が思うようでなくても。いつも前向きな姿勢を見習い、今日1日を思いっきり楽しむ、それをK様から教えてもらいました。
 新しいところでも、友人やスタッフにいつもかこまれ、頼りにされてすごされると思います。私たちも負けずに頑張ります。K様のパワーを自分の力に換えて利用者様の今日一日を最高の日にします!いままでたくさんの思い出をありがとうございました。
                                      花水木岩瀬館一同より

桜と感謝 (花水木岩瀬館)

2016.04.18

4/4(月)4/6(水)に近くのグラウンドへお花見に行きました。


その時のあるご利用者様のお話をご紹介します。


ご利用者様のO様は外出に誘っても


「頭が痛い」


「目が痛い」


「胸が苦しい」


だからいけないと、いつも外出を断る方ですが、本当はお花が好きなのは知っています。


いつもは表情が乏しいのですがお花をみると目がイキイキするのを見逃しませんでした。


今年のお花見行ってきました!O様も!


帰ってくると留守番をしていたスタッフに


「桜は2種類あった。白とピンクの色なんだ」


と教えてくれたそうです。


最近はジェスチャーばかりであまり会話らしいものをされていなかったので、


それを聞いたスタッフは


「久しぶりにO様と話せてうれしかったです」


というと


「こちらこそ一人で行けない所に連れて行ってくれてありがとう」


といってくださったそうです。


こちらこそありがとうございます。力をもらっているのはこちらのほうですから・・・


春でも夏でも秋でも冬でもお花を見に行きましょうね!!

新しい花を咲かせるために(グループホーム花水木です)

2015.09.13

花水木に入居されて約2ヶ月のN様。
「なんでも手伝うから言ってね?」と、朗らかな女性です。
「絵が好きだけど、手が痛くて出来ないのよ」塗り絵をしたり、
折り紙をしている他の利用者を眺めて話されることがしばしば。
「やってみたいけど、ムリよ」と、諦めたような様子をみて「出来る事が
きっとあるはず」と日常生活を観察し話しを聞きながら貼り絵に
挑戦することにしました。
下絵をスタッフが一色ずつ描き、おしゃべりをしつつ貼っていきます。
途中、くじけそうになるけれど「絶対、大丈夫ですよ。出来上がったら
きっといいことあると思いますよ」と励ましながら、完成!
「うわー、可愛くできた!おばあちゃんが作ったの?って、言われちゃうよ」
と大興奮!
「見て!私が作ったの!」とみんなに見せて回るほどの喜びように、スタッフも
嬉しくなりました。
花水木に入居されたことで、新しい事に挑戦され笑顔が増えていかれるよう
これからも支援していきたいと思います。

『夢を正夢に』 (はぎの郷デイ)

2015.08.12

「夢の中では、飛び跳ねながら歩いてるんだ」
 少し寂しそうな表情でお話をしてくれたIさん。

彼女は数年前脳梗塞で倒れ、現在は車いすでの生活を送っています。
入院中は懸命にリハビリをし、何かにつかまれば多少は歩くことも可能ですが、以前のように自分の足だけで歩くことは困難に…。
それでも、退院しご自宅で様々な介護保険サービスを利用しながら生活されています。そのうちの1つがはぎの郷のデイサービスです。

遠慮がちな性格でご自分の気持ちを積極的に訴える方ではありませんが、職員が何をしたいですか?とお聞きした時に、「歩く練習…」とポツリ。
そして「歩けるようになれないと思うけど、せめて今の状態を維持できれば」とちょっぴり恥ずかしそうな表情でお話してくださいました。

そこから、作業療法士を中心に全職員がサポートし、利用日にはほぼ毎回デイルーム内にある平行棒で歩行訓練をされています。

今では立ち上がりもしっかりされ平行棒を何往復も歩行されています。職員のほうが「途中少しやすみましょうか?」とお声掛けをする程です。

あらためて『歩けるようになって一番したいことは?』とお聞きしたところ
「庭の草むしりと野菜作り」と楽しそうにお話された表情が印象的でした。

次はこの目標に向かって支援していきたいと思います。

「都」はどこに? ・・・花水木 岩瀬館・・・

2015.07.19

 昔から住めば都と言いますが、長年住み慣れてくると『家よりもずっといい所だ』とお世辞にもおっしゃってくださるご利用者様もおられます。
 今年86歳を迎えられる中野様は、昨年の9月1日に入所されました。それまでは敗血症で県立中央病院に2ヶ月近く入院されていらっしゃいました。若い頃より、ガソリンスタンドや食堂を経営され、ほとんど休みもとらず働き詰めでいらっしゃったとの事。心臓や前立腺の持病、そして脊柱間狭窄症の手術も受けられ、腰の痛みもお持ちでした。
 退院された当初は、歩行が不安定な為、車椅子でお過ごしでしたが、ご本人の歩きたいという意志は大変強く、自ら一人で歩こうとされて尻餅をつくこともありました。転倒による骨折が心配された為、私たち職員は注意深く見守ることを大前提にしながらも、お一人で歩行することができるよう配慮した身の回りの支援・介護を誠心誠意続けさせて頂きました。
 やがて、車椅子をやめ歩行器をご使用になり、フロア内をご自分で操作して移動できるようになり、11月に入る頃には、杖による歩行や身の周りのこと、そして歩行訓練を日課とされるまでに回復されました。
 そんな折、ご本人より「家に帰りたいんだが・・・」というご相談がありました。ご家族からも「歩けるようにもなった為、家でみてあげたい」というお話しを頂き、職員や他のご利用者様が別れを惜しむ中、11月30日にご自宅に戻られました。
 それから7ヶ月後、中野様をご自宅にお尋ねすると、それはそれはお元気なお姿を拝見させて頂きました。日中は奥様と過ごされ、時にはご自宅の隣にあるガソリンスタンドで店番をされることもあるとの事。先ごろは、消防署よりガソリンスタンドの永年無事故の表彰も受けられたとの事で、たいへん充実した毎日をお過ごしでした。施設からご自宅に戻られ、しかもそれを継続できる事例はとても少なく、また貴重なことでもあります。
 岩瀬館での3ヶ月はとても短いものでしたが、中野様がこうしてご自宅に戻られ幸せにお暮らしになっていることに、少しでもお力をお貸しできたことは、私たち職員にとっても大きな喜びであり、誇りにもなっています。
 住めば都とは言いますが、ご家族のいるご自分の『家』以上の『都』はないのではないかと、つくづく感じると共に、それでも尚、ご利用者様が岩瀬館をご自分の『家』と思っていただけるよう職員一同力を尽くしていかなければいけない、そんな想いを頂いた中野様ご自宅への訪問でした。

手芸クラブ再開により (ケアハウス悠)

2015.07.02

 ケアハウス悠で3年お過ごしのM様は、入居当初、ご家族が亡くなられたばかりのショックにより何も手につかない状態で、たいへんさびしそうなご様子でございました。職員の声掛けにもほとんど答えることもなく、家族に呼び出しの電話をし、あちこち痛いと言い、病院に通う毎日でございました。


その当時、人事異動により配置されたH職員が手芸、園芸、体操等にたいへん詳しく、それまで閉鎖していた、手芸クラブや園芸活動を再開することができました。


H職員が、M様の居室に伺い、根気よく手芸クラブにお誘いしました。M様も最初は「私は行かない」等と断っておりましたが、何度も尋ねるうちに、「見てるだけ」と会場に足を運ぶようになり、最初のうちは少し様子をみてすぐ居室に戻ってしまいましたが、H職員の優しい人柄や本人も手芸等に興味があったこともあり、徐々にクラブ活動に参加するようになり、色彩豊かな小物やしおり等を他の入居者様とお話しをしながら作成するようになりました。このクラブ活動に参加するようになって、ご本人からご家族への連絡も徐々に少なくなり、病院への通院も激減しました。継続してクラブ活動に参加することにより、職員や他の入居者様と笑顔でお話しをするようになり、たまに冗談を言ってまわりを笑わせるまで回復してきました。


 心の中のさびしさやつらさはすぐに解消できませんが、職員の優しい声掛けと、少しでも癒す時間、紛らわす時間(クラブ活動等)を提供することにより、M様の心の安定を図れたようで、ほんとうに良かったと思います。これからも継続して支援し、少しでも心の支えになって行こうと思います。


 


 


 


 


 


 

想い出の花 (花の郷)

2015.06.30

 花の郷では、ご利用者様お一人お一人が今までにない活き活きとした表情を見せて頂けるように、ゆっくりと落ち着いた雰囲気の中でご利用者様と関わりを持つことを支援・介護指針の一つとしておりますが、この一環として少人数の小さなグループによる外出行事も行っています。
 6月は、ご利用者様の「思い出巡り」を企画致しました。紫陽花の綺麗な「保和苑」への散策のあと、それぞれのご利用者様の「想い出」の機会を作り、少しでもその人らしく元気な暮らしの継続ができるようにと考案したのです。
 この中で、施設ご利用1年以上となるN様。思い出の場所は「常盤神社と赤塚方面」。外出されたN様との会話の中から、『常盤神社はご主人とのお見合いの場所で、「ここで話が決まったんだよ」という話』や『赤塚は実家があった場所で「ここから嫁に行ったんだ」と楽しそうな話』をされ、普段は聞けない思い出のお話をお伺いすることが出来ました。
 N様は外出することが好きで、こうした機会を通して活き活きとした表情を取り戻すことを期待した企画でしたが、N様にとってはそれ以上に想い出を回想することや、そうした思いを話されることで気持ちが晴れ、穏やかに生活を送ることができる一助になったことと思います。
 今後も引き続き、N様はもとより、ご利用者様お一人お一人の気持ちに寄り添った支援の一つとして取り組んでいきたいと思います。
 

憎まれ口もその人らしさ… [はぎの郷]

2015.06.30

 肺炎から病院へ入院し、その後に自宅での生活が難しくはぎの郷へ入居されたNさん。病院では治療ということもあって胃ろう(胃へ直接に栄養を提供する方法)と経口の併用で食事を摂られていましたが、はぎの郷での暮らしが始まって間もないある日のこと・・・ 


ほかの方の食事を見て、「私に唐揚げは無いの?」と話されました。もちろん胃ろう+ペースト食の方にから揚げを出すことはできません。でも、食べたいという強い想いがあるなら、何か出来るのではないか・・・。


 この言葉が取り組みのはじまりになりました。 


当然、ご家族も口から食べられることで、以前のNさんに少しでも戻れるのではないかとの強い想いもあり、訪問歯科医の「ゆっくりよく噛んで食べること。おしゃべりもリハビリのうち。」とお墨付きをいただけたことが励みになり、ご家族も食事の時間に合わせ訪れ、日々の状態を管理栄養士・ユニット職員と話し合いながら少しずつご本人の想いに近づけることができました。時々は普通食も召し上がれるようになり、自宅へ外泊されるようにまでなりました。 


 何より、住み慣れた自宅での生活は、病状や必要なケアの状態から難しいこともあり、はぎの郷での生活(=ご本人にとって家で暮らすことと同じように感じられる)の充実を、スタッフはもとより、ご家族と協力して進めています。 


 心豊かな生活を送っているNさん。お手製のおやつを持参し、面会に来たご家族に「今日はこれだけしか持ってきてないの?」などとおっしゃるようになり、ご家族と職員とで、「少し前までは食べられなかったのにね」と笑いながら冗談を言い合える程ご家族の気持ちにも余裕が生まれ、今では月に一度ご家族水入らずで、お嬢さんお手製の食事を楽しまれています。 


 これからも、より一層Nさんの笑顔に寄り添ったケアを進めていきたいと思います。

元気になられて (指定訪問介護事業所 ゆう)

2015.06.30

 訪問介護事業所 ゆうに2年前より支援をさせていただいております、B様は支援を開始した当初は医療(病院)への依存度がとても高く、少し気持ちに不安があったり、からだのどこかが少し痛いとすぐに「病院、医院に連れて行って欲しい」と訴えがあり、何か所の病院より、飲みきれない程の薬を処方されてきました。


いろいろな薬を飲んでいたため、体調もすぐれず部屋にこもる日が続いておりました。


 職員同士で話し合いをし、ご家族にも同意を得て、ご本人が「病院に連れて行ってくれ」と訴えがあっても、すぐに病院にはお連れせず、ご本人とよく話しをし、どこが痛いのか、また、悩みや不安等、時間をかけてゆっくりきいてあげました。


 辛抱強く、話をきき続けた結果、一年を過ぎた頃には、週5回程かかっていた病院も、週2回、週1回と減ってきて、病院に行かないので、薬の量も減少し、顔色もよくなり、体調も回復されてきました。


 現在では大好きなカラオケやリハビリ体操を行い、穏やかな生活を送られております。職員の根気強い、時間をかけた支援によりご本人に気持ちが伝わり、それによりご本人が職員に応えてくれ、医療への依存が解消されたとおもいます。今後も粘り強く支援にあたり、困っている方に少しでもお役に立てればと思っております。


 

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